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学ぶ 院内感染とヒバの香り

院内感染の原因菌も寄せ付けない、強い抗菌作用が注目されています。



針葉樹精油の抗菌性
精油を入れていないコントロール(中央)ではカボ(フザリウム)が繁殖しているのに対して、精油を入れたシャーレではカビの繁殖が抑えられている。ヒバ材油(左上)、ヒノキ葉油(右上)、スギ葉油(左下)、ニオイヒバ葉油(右下)

ヒバは他の木材に比べ、木材腐朽菌やシロアリに対する耐久性が優れていることで知られ、ヒバ林の多い青森地方では家屋の柱や板材、土台などによく使われています。青森ヒバを土台に使えば、殺蟻剤や防腐剤を使用する必要がないとまで言われているくらいです。
 ヒバの強い抗菌作用は、ヒノキチオールという成分によるものです。ヒノキチオールは、カビや木材腐朽菌のほか、病原菌を抑える力もあります。院内感染の原因となる病原菌MRSAや、食中毒の猛威を奮う大腸菌O157に対しても抗菌作用があります。 MRSAに対しては現在、病院の床掃除に使用するなどの方法で抗菌力の持続性の試験が行われています。ヒノキチオールは主に、医薬部外品として養毛剤、化粧品、歯磨きなどに使用されています。
 天然由来の食品添加物は“化学的合成品以外の食品添加物リスト”の中に記載・指定され、表示が義務づけられていますが、平成3年、そのリストにヒノキチオールも保存料として新たに記載されました。これにより、ヒノキチオールの食品添加物としての用途が開けつつあります。

ヒノキチオールを直接、ハンバーグやジャムなどに添加して保存期間の改善をねらうことも試験的に行われ始めました。
 ヒノキチオールを含むヒバ材油は、青森地方で現在、のこ屑などから生産され、入浴剤、石鹸、芳香防臭剤、あめ、香料原料、ヒノキチオール原料などとして使用されています。また、ヒバ材を原料とした商品が多く出回り、抗菌性を売り物としたまな板、材の小片を入れた枕、葉のお茶など、その種類は豊富です。ヒバ材はヒノキチオール以外の抗菌性物質も含み、強い抗菌作用を示します。