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学ぶ ホルムアルデヒド臭と換気

最も安全で効果的なのが換気



東京都立東村山高校の健康的な校舎ホルムアルデヒド放散を少なくした針葉樹林合板(樹種:青森ヒバ、JASにおけるホルムアルデヒド放散量 の区分:F2)を壁と天井の内装材として用いた音楽室(写真提供:東京合板工業組合)

 家を新築したときや新しい家具を買った場合などにホルムアルデヒドやその他の異臭が気になることがあります。家を建てるとき、家具を買うときに安全な材料や製品を選択できればよいのですが、現状ではほとんど不可能です。また、住宅や家具を購入した後に臭いが気になるからといって、家を建て直すとか、家具を買い替えることもできません。
 このような場合、最も安全で効果的な対策は換気です。窓を開けることです。換気量が2倍になると、ホルムアルデヒドの気中濃度は3分の2程度になります。 また、換気をして材料から出るホルムアルデヒドを屋外にとばしてやると、材料のホルムアルデヒドはどんどん減ってゆき、通常は1ヶ月から半年でほとんど臭いが気にならなくなります。


 その他、温度・湿度・材料表面積もホルムアルデヒドの気中濃度に影響します。温度が10℃上がるごとにホルムアルデヒド気中濃度は2.3倍になるといわれています。ホルムアルデヒド臭の問題が夏に起こるのは、そのためと考えられます。
 また、湿度や表面積が大きくなっても気中濃度は高くなります。表面積が大きくなることは換気量が小さくなるのと同様の影響があります。室内には床・壁・天井がありますが、この中で壁の表面積が最も大きく、床や天井の約2倍あります。したがって、特に壁には安全な材料を使うことが重要です。
 今の住宅は高気密化してるうえに、様々な人工素材が使われ、室内はいろいろな化学物質で汚染されています。高気密住宅こそ、天然の木材を多く使いたいものです。すべて無垢の木とはいきませんが、僅かのコストアップでホルムアルデヒドの少ない木質材料が製造されていますので、そのような材料を選んで使うことが重要です。

影響因子 影響の度合い
温 度 温度が10℃高くなるごとに気中濃度は2.3倍
温度が10℃低くなるごとに気中濃度は2.3分の1
湿 度 湿度が1%RH高くなるごとに気中濃度1%増加
湿度が1%RH低くなるごとに気中濃度1%低下
換気量 換気量が半分になると気中濃度は1.3~1.5倍
換気量が2倍になると気中濃度は約3分の2
材料表面積 材料表面積が2倍になると気中濃度は1.3~1.5倍
材料表面積が半分になると気中濃度は約3分の2
表1 ホルムアルデヒド気中濃度に影響する因子とその影響度合い